我が子が療育に通いだして早数ヵ月が経ちました。
そこで「療育」って何するの?
一番聞かれるこの質問にお答えしたいと思います。
最初にお伝えしておくと、療育に通って本当に良かったということです。
まだ療育という言葉に不安をお持ちの方は是非参考にしてくださいね。
療育(発達支援)とは?
療育(発達支援)とは、障害のある子どもやその可能性のある子どもにに対し、個々の発達の状態や障害特性に応じて、今の困りごとの解決と、将来の自立と社会参加を目指し支援をすることです。
【障害】って聞くとなんだが怖いですよね。
でも障害といっても身体障害、知的障害、発達障害など様々です。
では我が子は障害者なのかというと、まだ診断がつかない俗にいうグレーゾーンというやつです。
発語が遅かったので言葉でのコミュニケーションが苦手で、知能も少し遅れています。
でもハッキリと診断をするにはまだ年齢が小さすぎるみたいです。
診断がついていない子どもがほとんど
実は我が子同様、療育に通っている子どもはハッキリと診断がついていない子が多いです。
なんとなく診断がおりてから通うようなイメージですが、グレーゾーンの子が多いです。
療育に通いだしたきっかけは、やはり子どもに対して感じる違和感や育てにくさなどです。
実際にもしかして発達障害かも?と思うきっかけとして、某アンケートでは
「言葉の発達が遅れている」が最も多く我が子もそうでした。
次いで、「こだわりが強い」や「常に動いていてじっとしていない」などが多いです。
こういった違和感に親や周囲の大人が気づいてあげて、目を背けないことが重要です。
保育園・幼稚園は教えてくれない
先ほどの我が子が発達障害かも?と思うきっかけとして、
「保育園・幼稚園から指摘された」と回答された方もいます。
しかし、実際のところ園から突然指摘されるということは原則ありません。
前提として、懇談などで親側から相談を受けて初めて園の方からも療育を勧めてきます。
うちの子はそんなことあるはずない!って思っている保護者にいきなり
「もしかしたら〇〇ちゃん発達障害かもしれませんから療育を考えられたほうが…」なんて言えるわけありませんよね。
これは保育士の知人も言っていたことです。
特に保育園では保護者がお仕事されているので忙しいでしょうし、気づきにくかったりするみたいです。
療育に通うまでのハードルは大変ですし、通いだしてからも送り迎えが必要ですから簡単には言えないですよね。
それでも療育は6歳までが重要と言われているので、違和感に気づいたり気になったりしたら目を背けずにすぐに行動することをおすすめします。
初めての療育~療育初日~
我が子が通っている療育は1回90分、子どもは5人までです。
先生は4人いてほぼマンツーマンです。
さて、我が子の療育初日。
予想通り別れる時はギャン泣きでした。
手を離さない我が子を振り払い先生に預けてサササーと待機部屋へ移動。
モニタリングを開始すると意外とすぐに泣き止んで出席帳のようなものにシールを貼っていました。
初日ということで何かをしましょうということはなく、シールを貼ったり、おままごとをしたり、色んなおもちゃを出してきてくれて、どれがしたい?と子どもに聞いて先生に見守られながら遊んでいました。
イメージとしてはどこかの1日預かりをお願いしたような感じです。
その間私は待機部屋で他の子のママとおしゃべりしていました。
何で療育に通うことになったんですか?とか、こんなことが大変でーとか
療育に通うママ同士、他のママとは話せないようなことも気にせず話せるのでママにとってもいい場所だと思います。
終了15分前に先生が来てくれて今日の様子を話してくれます。
やっぱり一言も声を発しなかったそう。
予想通り。
ある日の療育 その① 考える力
療育も通い始めて1ヵ月もすると、先生にも場所にも慣れてきて別れる時は泣きもせずサッサと入っていきバイバイをされるようになりました。
この日は天井から吊り下げられた、アンパンマンのキャラクターたちの顔が書いてある紐を引っ張るということをしていました。
紐の長さは短いのから長いのまで様々ですが、どれも紐を引っ張るには踏み台に乗らないと届きません。
踏み台は小さなものから、3段の脚立、大きな脚立色々用意されています。
背伸びをしても届かない
⇓
踏み台に乗れば届く
⇓
踏み台の置く位置がずれていると届かない
⇓
紐の位置を見ながら踏み台の位置を動かす
⇓
届いた!アンパンマンゲット!
というような流れで、考える力を養っているようでした。
同時に成功体験をしてとても嬉しそうにしていました。
その後はただの踏み台よりも、脚立のほうがもっと高い所にある紐をとれることに気づき、
片手は脚立をしっかり握り、もう片方の手で紐を引っ張るという形に発展していきました。
その姿をモニタリングでみていた私は驚きです。
自宅でするにははもちろん難しいし、正直めんどくさい。
保育園など大人数でも難しいでしょうし、マンツーマンで見てくれるからこそできるのだと感心しました。
ある日の療育 その② 感触遊び
療育に通っている子どもで粘土や泥遊びといった感触遊びが嫌いな子は多いそうです。
感覚過敏や繊細な子が特に感触遊びを嫌がるみたいです。
この日は遊んだ後のテーブルを拭いて、雑巾(ミニタオル)をタライで洗うという洗濯遊びをしていました。
タライに水と洗剤を入れて泡立ててゴシゴシとこすって、雑巾絞りの練習をしていました。
水に漬けてゴシゴシしては絞りを何度も何度も繰り返していました。
お友達の中にはどうしても触りたくないという子もいて、先生がビニール袋を持ってきてその中に雑巾と洗剤を入れて袋をモミモミと揉み洗いを教えていました。
その子は嫌がりながらも頑張ってモミモミとしていました。
ちなみにその後我が家では、お風呂場にミニタオルを持って入り「見てー!」と何度も雑巾絞りを披露されました。
ある日の療育 その③ 制作
この日は大きな段ボールに牛乳パックを貼り付けてボールを転がすコースを作っていました。
牛乳パックを右下斜めに貼り付けて、その次は左下斜めに貼り付けてと交互に貼りつけて、
ボールを上から下に転がすコースを作ります。
斜めの加減であったり、下に貼る位置であったりと子どもには考えることがたくさんあって難しそうでした。
結構長い時間集中して、自分の身長と同じくらいの高さ90㎝ほどのコースターを完成させました。
保育園や幼稚園でも制作はしますが、先生がずっと横でついていてくれるのはやはり大きな違いです。
これも完成したコースターにボールを転がしてうまく下まで行くのをみて喜んでいました。
達成感が得られたんでしょうね。
子どもの特性に合わせてくれる
先ほどご紹介したように、感触遊びが苦手な子がいたり、言葉での説明を理解するのが難しい子がいたり、じっとしていられない子がいたりと子どもの特性は様々です。
マンツーマンだからこそ、その子の特性に合わせて先生たちは接してくれるので
子どもたちもあまりイライラしたり、ストレスがないように思います。
保育園や幼稚園ではみんなが粘土遊びをする時間に、やりたくないのに一緒にしようよ。やってみようよ。と誘われて、それでもやりたくないとやらないでいると放っておかれてしまうこともあります。
療育ではどうしてやりたくないかをきちんと聞いてくれるし、こうしてみたら?と色々提案もしてくれます。
実際に通っている保育園や幼稚園より、療育に来る方が子どもが喜ぶといっている保護者の方は多いです。
A君の場合
感触遊びが嫌いなA君。
ある日、スライムを作ってみようという日がありました。
お母さんは絶対に嫌がってしなさそうとモニターをみて言っていました。
でもこの日のA君は最初やはり引き気味でしたが、みんな楽しそうに作っているのを見て先生も何度か声掛けをして自分からスライムを触りはじめました。
最初は人差し指でツンツンとして、指にスライムがくっついて「ついたー」と泣きそうになっていましたが、すぐに先生がお手拭きで拭いて、これで拭いたらすぐに取れるよと教えると安心したそうです。
そのうちに手で握れるようになったのです。
A君のお母さんもびっくりしていました。
B君の場合
言葉の発達が遅いB君。
言葉でうまく伝えられないので先に手がでてしまいます。
スライム作りをした日、子どもたちはみんな同じ色のスライムを作っていましたが、先生だけ一人違う色のスライムをあとからジャーン!とだしました。
あとから出てきた違う色のスライムの特別感に子どもたちは「ちょーだい」と群がります。
B君も欲しいようですが「ちょーだい」が言えなくて黙って取ろうとしていました。
そこで先生はピシッと黙って取らないでと言います。
他の子どもたちの「ちょーだい」「貸して」と言っている姿を見てB君も初めて「ちょーだい」という言葉がでてきました。
ちなみにそれまで公園などで遊んでいて他の子のおもちゃを使いだしたりして、「貸しては?」とお母さんが言っても言ったことはなかったらしいです。
Cちゃんの場合
なかなかじっとしていられないCちゃん。
常に動き回っていて、お母さんは一緒に買い物に行くのは地獄だと言っていました。
コロナが流行りだして、スーパーにあるものができました。
わかるでしょうか?
レジに並ぶときの足跡シールです。
それまでレジに並ぶことができなかったらしいのですが、足跡シールがついてからはその足跡の上に乗るようになってレジに並ぶことができるようになったと言っていました。
そこで先生も視覚からだと情報が入りやすいようだとCちゃんに対して、遊びの説明をするときは紙に書いて説明してくれています。
口で説明しても聞かずにすぐに動き出してしまいますが、視覚に訴えると止まって聞くようになったそうです。
療育施設は専門家が先生
療育では保育士さんではなく、児童指導員、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などの専門家が先生です。
毎回療育のあとは先生が本日の様子を教えてくれます。
モニターで見てるとはいえ、音声は聞こえませんのであの時そんなことがあったのかなど、見えていない細かいやり取りも教えてくれます。
そこで初めて家では見せない一面を教えてもらったり、以前はできていなかったことができるようになっていたり、聞いていてとても面白いです。
成長を楽しめる
先生たちはよく、自分の意見を表に出すことができたとき褒めてくれます。
我が子も言葉は発しませんが、「これしてみる?」と聞かれた時に、最初はただ黙って固まっていただけだったそうですが、そのうちに小さく首を振るようになったそうです。
ブロックを積んで遊んでいた時に、他のお友達が割り込んできてブロックを乗せた時に嫌な顔ができるようになったそうです。
そういう時は「やめて」といえばいいんだよと何回か教えていますが、なかなかまだ難しいようです。
とても小さなことのように思えますが、先生とのやりとり、お友達とのやりとり、成長をしっかり感じられると嬉しいです。
幼稚園・保育園では聞けない話
幼稚園でも保育園でも子どもの様子をこんなに細かくは教えてくれません。
ハッキリ言って園でどのように過ごしているかは謎です。
懇談などはありますが、たった15分~20分で伝えきれるわけないですよね。
子どもに聞いてもイマイチというか全然分かりません。
我が子は「幼稚園で何して遊んだの?」と聞いても「何もしてない」と返ってきます。
「給食美味しかった?」と聞いても「食べてない」と返ってきます。
そんなわけないやろっと突っ込みたくなりますよね。
なので先生やお友達とのやりとりを聞くだけで、発見や驚きが多くて面白いですよ。
療育後の子どもの変化
療育に通っている保護者の方に向けた某アンケートで、療育後に子どもがどのように変化したのかという質問に対して一番多かったのが「苦手に取り組めるようになった」です。
次いで「言葉の発達」
「集団行動ができるようになった」
「困りごとが減った」
「得意なことが伸びた」
「自主性が芽生えた」
などがありました。
何かしらの変化を感じている保護者の方が多いようです。
保護者の変化
もう一つ重要なのが保護者の変化です。
「イライラが減った」
「言葉のかけ方や接し方が分かってきた」
「相談できる場所、人ができて心が軽くなった」
療育に通い始めたことによって、保護者の方も心にゆとりができるように思います。
私自身、同じ月齢の子どもはペラペラ言葉を発するのに、一向に「あー」しか言わない我が子に不安になったりイライラしたりしていました。
他の人に言っても「そのうちしゃべるよー」とあまり真剣に受け止められなかったり。
なので、モニター室で同じような困りごとを抱えた保護者同士で話をするのはとても救われます。
家での困りごとなども先生に相談して助言を頂けますし、やはり相談できる場所と人がいるのはとても心強いです。
不安を抱えて孤独になる人も多いので、療育は子ども自身はもちろん、保護者にとっても重要だと改めて思います。
療育はメリットしかない
ハッキリ言って私自身は療育に通っていてメリットしかないと感じています。
幼児教育の習い事なんて驚くほど費用は高いのに、それに比べて専門家の先生たちに見てもらえて費用はほぼ無償です。
私が子どもと90分遊ぶよりもはるかに有意義な時間を過ごせることでしょう。
困りごとをすぐに相談できる場所、人も出来たし、同じ悩みをもつ保護者の方とのネットワークもできました。
どうしてもデメリットをあげるとしたら、場所が少し遠いのと送迎が必要ということくらいでしょうか。
相談から療育に通うまでのハードル
私は最初に自治体に相談してから療育に通うまでは約1年かかりました。
同じ施設に通っている保護者の方もだいたい同じような方が多いです。
1歳半検診の発語が全くない気づきからすると1年半以上です。
私も心のどこかでいつかは話すだろうと思っていました。
まさか自分の子どもが発達障害かも?なんて考えたくなかった時もありました。
正直療育に通うまでは心身ともに大変です。
情報がない
まず情報がない。本当にありません。
療育に通っている知り合いなんていません、自治体によって差があるのが現状です。
インターネットで調べても実際よくわかりません。
相談しにくい
デリケートなことなので、人に相談しにくいです。
私も1歳半検診で検診の医者に発語がないことは言いましたが、「まあそのうちしゃべるでしょう」で終わりました。
誰に話しても同じような答えが返ってきます。
2歳になっても発語がないのにそのうちっていつ?
不安だけが大きくなりました。
気持ちの整理、周囲の理解
療育に通った方がいいということを、理解はしているが気持ちが追い付かない。
発達障害という言葉が重くのしかかる。
家族、親戚など周囲の理解が得られなかったり、説明が面倒だったりします。
特に祖父母世代は「療育」という言葉自体知らなかったり、発達障害という言葉にとても不安を感じるようです。
とにかく待機期間が長い
一番最初に市役所に相談に行って、児童心理士による相談・面談までまず2週間待ちました。
そこから様子見ということになって、2回目の面談をして発達検査までは3ヵ月待ちました。
発達検査後、施設見学の連絡がきたのが半年後です。
さらに通えるようになるのはそのまた3ヵ月後ということでした。
これは京都市の例なので、もっと早い自治体はあると思いますが、通うまでの苦労や困難は覚悟がいります。
もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
早期に相談、早期に支援
我が子が発達障害なのかどうかはひとまず置いておいて、育てにくさや気になる点があるのなら迷わず相談することをおすすめします。
じっとしていない子どもに「子どもはそういうもん」
発語がない子どもに「そのうち話す」
嫌というほど耳にしますが、我が子と一番長い時間向き合う自分が気になるのならそんな言葉は無視して相談しましょう。
発達障害でないならそれで良いし、発達障害でなくても療育で行うプログラムは子どもの発達にとても重要です。
もし本当に発達障害なら療育は必要不可欠であり、早期に始めることが重要です。
適切な教育や支援を受けることで社会生活での困難を減らし、子どもの自己肯定感も高まります。
まとめ
まだまだ我が子も療育に通い始めて間もないのでこれからの変化が楽しみです。
なにより子ども自身が療育に行くことをとても楽しみにしていることが嬉しいです。
通うまでのハードルは確かに高いですが、通い始めると習い事のような感覚です。
また経過などをご報告できればと思いますので参考にしてくださいね。
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